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クーパー靭帯


下記文章は、(株)ワコールからの引用です。 京都府立医科大学 大学院医学研究科 教授 河田光博先生

伸縮性に富むクーパー靭帯によって支えられる乳房の形

乳房は、主に乳腺と脂肪から作られており、「結合組織」という組織が、
これらをまとめるように支えることで、乳房の形が作られています。

この「結合組織」には、「脂肪細胞」や「線維芽細胞」、線維芽細胞が
生み出すコラーゲンなどの「膠原(こうげん)線維」が、含まれています。

この「線維芽細胞」や「膠原線維」は、伸縮性に富んだメッシュ状の細い
束になって乳腺の周りを取り囲み、乳房を上下から吊るすような形で支
えています。

これを「クーパー靭帯(乳房提靭帯)」といいます。

靭帯といっても、腕や脚の靭帯のように骨と骨をつなぐ、固くしっかりした
一本の束になった組織ではなく、これらの細胞や、小さな線維の束が、
メッシュ状に絡まりあって枝分かれし、脂肪細胞の中にも入り込みながら
乳腺を支え、乳房を形作っているのです。
(注:医学では繊維という言葉より線維を使う)




  1. 完全には解明されていない下垂のメカニズム。

    乳房下垂のメカニズムは、まだ正確には解明されてはいませんが、次の様な、いくつかの要因
    によって起こると考えられています。

    1. クーパー靭帯の伸び。

      メッシュ状になった「クーパー靭帯」が、長時間にわたる、外からの一定の刺激を受け続ける
      ことで、次第に緩んで伸びてしまい、乳房を支えられなくなる。

    2. 細胞の統合性の乱れ。

      「結合組織」を構成するいろいろな細胞や線維は、一定の統制力のもとに調和しあって存在
      しているが、長時間にわたる、外からの一定の刺激を受け続けるうちに、この統制が乱れ、
      調和のバランスがとれなくなり、乳房を支える力を失う。

    3. 乳房と大胸筋の間のズレ。

      乳腺組織と、これを支える「結合組織」は、乳房の後ろ側で膜状の組織を作り、大胸筋の
      表面にある筋膜と弱い結合組織でつながっている。長期間にわたる刺激は、次第に2つの
      膜の間にズレを生じさせ、乳房そのものの位置が下がっていく。

    4. 脂肪細胞の増大。

      加齢によるホルモンの変化で、乳腺の細胞が萎縮すると、空いた部分
      に脂肪細胞が入り込み、全体に脂肪の量が増えることで、乳房に重みが加わるほかに、
      乳腺が脂肪に置き換わることで、やわらかくなり、下垂する。


  2. ランニングの様な運動の継続は下垂の誘引に。

    1. 「閾値(いきち)」を超えると、「クーパー靭帯」の伸縮力が弱る。

      「クーパー靭帯」には、強い伸び縮みに耐える力が備わっています。
      しかし、外から加わる刺激の大きさや頻度が、ある一定の許容範囲を超えると、
      この力が急激に失われ、「クーパー靭帯」が伸びきった状態になります。

      この許容レベルを、「閾値(いきち)」と言い、ある時期までは、ずっと大丈夫であったものが、
      「閾値」を超えたとたんに、伸びが元に戻らなくなってしまいます。

    2. 強い刺激を受け続けると、「結合組織」が緩む。

      乳房が、揺れなどの強い刺激を高頻度に受け続けると、「結合組織」を構成する細胞や
      線維の調和を保っきた集合パターンが刺激によって変化し、次第に緩みを生じて、乳房
      の下垂の要因となっていきます。

    3. 「クーパー靭帯」「結合組織」への刺激の蓄積が、年月を経て下垂になる。

      このように、乳房に大きな上下動を与えるランニングのような運動は、「クーパー靭帯」にも、
      「結合組織」にも、ダメージを与える事になり、こうした刺激の蓄積が、年月を経て、下垂と
      なって現れてくる事は、十分に考えられます。

    4. 靭帯という組織は、筋肉のように鍛えて強化することができません。

      「クーパー靭帯」も、ランニングによる上下動のような機械的な力が加わり続ける事で、
      ダメージがおよばないように、日ごろから、出来るだけ強い衝撃を与えないように守ること
      が大切です。