伸縮性に富むクーパー靭帯によって支えられる乳房の形
乳房は、主に乳腺と脂肪から作られており、「結合組織」という組織が、
これらをまとめるように支えることで、乳房の形が作られています。
この「結合組織」には、「脂肪細胞」や「線維芽細胞」、線維芽細胞が
生み出すコラーゲンなどの「膠原(こうげん)線維」が、含まれています。
この「線維芽細胞」や「膠原線維」は、伸縮性に富んだメッシュ状の細い
束になって乳腺の周りを取り囲み、乳房を上下から吊るすような形で支
えています。
これを「クーパー靭帯(乳房提靭帯)」といいます。
靭帯といっても、腕や脚の靭帯のように骨と骨をつなぐ、固くしっかりした
一本の束になった組織ではなく、これらの細胞や、小さな線維の束が、
メッシュ状に絡まりあって枝分かれし、脂肪細胞の中にも入り込みながら
乳腺を支え、乳房を形作っているのです。
(注:医学では繊維という言葉より線維を使う)
- 完全には解明されていない下垂のメカニズム。
乳房下垂のメカニズムは、まだ正確には解明されてはいませんが、次の様な、いくつかの要因
によって起こると考えられています。
- クーパー靭帯の伸び。
メッシュ状になった「クーパー靭帯」が、長時間にわたる、外からの一定の刺激を受け続ける
ことで、次第に緩んで伸びてしまい、乳房を支えられなくなる。
- 細胞の統合性の乱れ。
「結合組織」を構成するいろいろな細胞や線維は、一定の統制力のもとに調和しあって存在
しているが、長時間にわたる、外からの一定の刺激を受け続けるうちに、この統制が乱れ、
調和のバランスがとれなくなり、乳房を支える力を失う。
- 乳房と大胸筋の間のズレ。
乳腺組織と、これを支える「結合組織」は、乳房の後ろ側で膜状の組織を作り、大胸筋の
表面にある筋膜と弱い結合組織でつながっている。長期間にわたる刺激は、次第に2つの
膜の間にズレを生じさせ、乳房そのものの位置が下がっていく。
- 脂肪細胞の増大。
加齢によるホルモンの変化で、乳腺の細胞が萎縮すると、空いた部分
に脂肪細胞が入り込み、全体に脂肪の量が増えることで、乳房に重みが加わるほかに、
乳腺が脂肪に置き換わることで、やわらかくなり、下垂する。
- ランニングの様な運動の継続は下垂の誘引に。
- 「閾値(いきち)」を超えると、「クーパー靭帯」の伸縮力が弱る。
「クーパー靭帯」には、強い伸び縮みに耐える力が備わっています。
しかし、外から加わる刺激の大きさや頻度が、ある一定の許容範囲を超えると、
この力が急激に失われ、「クーパー靭帯」が伸びきった状態になります。
この許容レベルを、「閾値(いきち)」と言い、ある時期までは、ずっと大丈夫であったものが、
「閾値」を超えたとたんに、伸びが元に戻らなくなってしまいます。
- 強い刺激を受け続けると、「結合組織」が緩む。
乳房が、揺れなどの強い刺激を高頻度に受け続けると、「結合組織」を構成する細胞や
線維の調和を保っきた集合パターンが刺激によって変化し、次第に緩みを生じて、乳房
の下垂の要因となっていきます。
- 「クーパー靭帯」「結合組織」への刺激の蓄積が、年月を経て下垂になる。
このように、乳房に大きな上下動を与えるランニングのような運動は、「クーパー靭帯」にも、
「結合組織」にも、ダメージを与える事になり、こうした刺激の蓄積が、年月を経て、下垂と
なって現れてくる事は、十分に考えられます。
- 靭帯という組織は、筋肉のように鍛えて強化することができません。
「クーパー靭帯」も、ランニングによる上下動のような機械的な力が加わり続ける事で、
ダメージがおよばないように、日ごろから、出来るだけ強い衝撃を与えないように守ること
が大切です。
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